いま盛んにホトトギスが鳴いています。
「ホッチョカケタカ・オトトコイシイ」そんな、聞きなしです。
私の田舎では、ホトトギスのことを「ホチョカケ」とも呼んでいます。
さえずりは結構、大きな声で激情的とも言われますが、後半は物悲しく聞こえます。
この鳴き方はオスです。メスは「ピピピピ」としか泣きません。
ホトトギスにちなむ句には「目に青葉山ほととぎす初鰹(山口素堂)」のほか、数多くの和歌が詠まれています。
また、三英傑の性格を、「鳴かぬなら・・・・・」と詠んだ川柳もよく知られています。
ホトトギスは主にウグイスの巣に卵を産んで、ヒナを育ててもらいます。
托卵といいます。
そのため、ウグイスのさえずりも良く聞こえてきます。
交互に鳴きあうため、同時に鳴き声が聞こえることはありません。
<我が家に伝わる
「ホトトギス兄弟」の話>
昔あるところに、ホトトギスの兄弟が住んでいました。
兄は何もしない、ずぼら者。
弟は働き者で、毎日山をかけずり回って兄のために山芋の柔らかい美味しい部分を取って来るのでした。
そんな弟を兄は、「これだけうまい物を食わしてくれるのだから、弟はさぞやうまいものを食べているに違いない。」といつも思っていました。
ある日、兄は弟の食っているものが知りたくて、弟の腹を割き開き見てみました。
腹の中から出てきたのは、まずくて食えない山芋のつるばかりでした。
「自分はまずいところを食って、俺にうまいところを食わせていたのか。こんな兄思いの弟を殺すなんて、俺は本当に悪いことをしてしまった。」と兄は後悔しましたが、もう取り返しはつきません。
そして、自分のしたことを悔やみ、「ホッチョカケタカ・オトトコイシイ(弟恋しい)」と毎日、弟を探しながら泣くのでした。